ぽんぽこぽん!ぽんすけです。
お読みいただきありがとうございます。
本日の記事は「ロウソクの科学」実験・解説シリーズのおまけ編!
「なんで、ロウソクのオレンジ色の炎からススが発生するのか?」を解説します。
ロウソクが燃えると、ロウソクの周囲にはススが出てないのに、オレンジ色の炎の部分にはススが発生します。
不思議ー!!なわけですが、これはなぜでしょうか?
本日はこちらの内容を解説していきます。
余談ですが、なぜ、「ロウソクの科学実験」のおまけかと言うと・・・詳しく説明すると高校理科の範囲になってしまうから!
解説内容が難しい。
そこで、今回の記事では必要な理科知識を合間に挟みつつ、なるべくわかりやすくアレンジして解説していきます。
あっ、詳しい解説に行く前に結論からいくと・・・
ロウソクの炎のオレンジ色部分(内炎)からススが発生するのは、水素の方が炭素よりも活性化エネルギーが低いから。
(もう少し簡単に言うとロウソクの燃焼反応が途中だから)
※注意:不完全燃焼ではない
模式図▼
もう少し簡単な模式図▼
・・・
・・・は?
ってなると思うので、必要な前知識を押さえつつ、順を追って説明していきますね。
では、おまけの解説、はじまりはじまり~☆
前知識①:ススの主成分は何?
そもそもロウソクを燃えたときに発生する「スス」って、何でできているのでしょうか?
黒いつぶつぶであることは、ご存じかと思います。
あとは、BBQや暖炉で炭が燃えると出てくるなー、といった印象でしょうか。
実は・・・「スス」は炭素を主成分とした小さい粒のことを言います。
まずは、スス=炭素ということを押さえてください。
前知識②:ロウソクの主成分は何?
お次はロウソクの「ロウと芯」の主成分についてお話していきます。
まずは、ロウについて。
ロウは「パラフィンワックス」と呼ばれるものが主原料です(参考:ロウソクの豆知識(カメヤマ株式会社))。
パラフィンを元素レベルまで細かく見ると、炭素(C)と水素(H)でできています
元素とは?
この世界のモノすべてを構成する最小の単位。
物質をすごーく細かく分けていって、これ以上わけられないときに残るもの。
すべての物質は、元素を組み合わせた化学式で表現することができる。
ちなみに、パラフィンを、化学式にすると、こんな感じになります。
CnH2n+2
お次は芯の話。
芯は多くの場合「綿」でできています。
綿の主成分は「セルロース」と呼ばれる繊維です。
セルロースを化学式にまとめると、こんな感じ!
(C6H10O5)n
「ロウ(パラフィン)」と「芯(セルロース)」の化学式を見ていただくと、どちらも炭素(C)と水素(H)が含まれています。
この炭素(C)がススの発生原因になります。
▼ここまでの話のまとめ▼
・スス=炭素(C)でできた粒
・ロウと芯には炭素(C)と水素(H)が含まれている
前知識③:「燃える」って化学的に何が起こってる?
お次の前知識は「燃える」ってなーに?
燃えるというと、火がボーっ!!!と上がるイメージですが、化学的に言うと、・・・
燃焼とは、光や熱を出しながら、酸素と反応する(酸化)現象のこと
です。
今回の場合は、ロウソクが燃えることで、『ロウと芯(=パラフィンとセルロース)が酸素と反応する』という現象が起こっています。
▼ここまでの話のまとめ▼
・スス=炭素(C)で構成された粒
・ロウと芯には炭素(C)と水素(H)が含まれている
・燃焼=物質が酸素と反応すること
→ロウソク(ロウと芯)が燃える=炭素と水素が、酸素と反応する
お疲れ様です。前知識はあと2つ!
前知識④:炭素と水素が燃えると何になる?
今までの話から、ロウソクが燃える=炭素と水素が、酸素と反応するということがわかりました。
では、炭素と水素が燃えると、それぞれ何になるのでしょうか?
まずは、炭素について。
ヒント!ガソリンが燃えると、何になりますか?
あいつです。あいつ。
地球温暖化の主要原因と言われている物質になるんです。
・・・
あっさり答え。炭素が燃えると、二酸化炭素になります!
化学式で反応を表現するとこう!
C+O2→CO2
お次は水素。
水素は酸素と反応すると水になります。
2H2+O2→2H2O
▼ここまでの話のまとめ▼
・スス=炭素(C)で構成された粒
・ロウ(パラフィン)と芯(セルロース)には炭素と水素が含まれている
・燃焼=物質が酸素と反応すること
→ロウソク(ロウと芯)が燃える=炭素と水素が酸素と反応する
・炭素+酸素→二酸化炭素(CO2)
・水素+酸素→水(H2O)
ここまでお読みいただきありがとうございます。
前知識はあと1つ。大変だと思いますが、頑張ってください!
前知識⑤:炭素よりも水素の方が酸素と反応しやすい
ロウソクを燃やすと、炭素+酸素→二酸化炭素という反応と、水素+酸素→水という反応が起こります。
ここで注意しなきゃいけないのが、ロウソクを燃やしたときに、水素の方が、炭素よりも酸素と反応しやすいということ!※
(※もう少し詳しく言うと、水素の方が、炭素よりも活性化エネルギーが低い)
つまり、ロウソクを燃やすと、ロウや芯の水素(元素)から水が発生したのち、炭素から二酸化炭素が発生するという順番で反応します。
お疲れ様でした!ようやく大元のお話。
「なんで、ロウソクのオレンジ色の炎からススが発生するのか?」を解説していきます。
ロウソクが燃えると「ロウ・芯に含まれた炭素→スス→二酸化炭素」と反応する
もう一度、今までのお話をまとめます▼
1)ススは炭素の粒である。
2)ロウ(パラフィン)と芯(セルロース)には水素(元素)と炭素(元素)が含まれている。
3)ロウソクが燃えると、水素が水になり、炭素が二酸化炭素になる。
4)炭素より水素の方が化学反応しやすい
さあ、ようやく解説。「なんで、ロウソクのオレンジ色の炎からススが発生するのか?」
ロウソクが燃えると、パラフィンやセルロースの水素(元素)が酸素と反応して、水が発生します。
すると、パラフィンやセルロースは酸素に水素(元素)を奪われて、炭素を主成分とした物質に変化します。
これがスス!
※そのススが酸素と反応して、二酸化炭素になります。
模式図にするとこうなります▼
要するに、ロウソク(芯とロウ)が燃えてる途中にススが発生するんですね。
ここで、重要なススの性質のお話。
ススは燃えるとオレンジ色に光るという性質があります。
だから、オレンジ色の炎(内炎)からススを取り出すことができるんです。
むしろ、「なんでオレンジ色の炎からスス?」というより、ススが燃えるからオレンジ色に光るというのが正しい解釈なんです。
以上より、結論!
ロウソクの炎のオレンジ色部分(内炎)からススが発生するのは、水素の方が炭素よりも活性化エネルギーが低いから。
(もう少し簡単に言うとロウソクの燃焼反応が途中だから)
※注意:不完全燃焼ではない
おわりに「化学反応はなだらかに起こることを忘れちゃいけない」
「なんでロウソクのオレンジの炎(内炎)からスス?」はいかがでしたでしょうか。
中学校や高校で「炭素と水素でできた物質(有機物)」の燃焼を習うと、多くの場合、「二酸化炭素と水になる」と教わります。
でも、今回のように、有機物は燃焼してすぐに二酸化炭素になるわけではありません。
化学反応はなだらかに、グラデーションを持って変化します。
シンプルに「こうだからこう!」と、理論通りものごとが進んでいくわけではありません。
そのグラデーションの中に、新しい発見があったりします。
もしあなたが学生さんなら、ぜひ、そのグラデーションを気にかけて化学の勉強をしてみてくださいね!
きっともっと勉強がわかりやすくなるはずです。
おあとがよろしいようで。
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